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【連想ゲーム 第2回目】目を覚ますと病院にいた。

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~ルール~

①順番を決める

②お題に沿って、想像していく

③尚、小説風とする

 

~メンバー~

1、コカトリス

2、黛クロナ

3、茜奏

4、よう子

5、津蔵坂あけび

6、御船侑広

 

 

【お題】

目を覚ますと病室にいた。 何があったかは覚えていない。 枕元には見たことのない紙袋が置いてある。 なんだろうと中身を見ると、なぜか高校時代の制服が入っていた。

 

 

コカトリス

「なんでここに制服が?」

まだ未開封なようでシワの一つも付いていない。

サイズは高校の時の俺のサイズだ。

なぜ?

疑問は尽きないが、懐かしい……そんな気持ちの方が大きい。

「あら? 起きたの?」

病室の扉を開けてきたのは恩師だった。

「せ、先生?」

「なにをびっくりしてるの? それと怪我大丈夫だった? 酷い事故だったらしいけど?」

頭の中がら真っ白になる。

あれ、俺の……確か会社に出社してる途中だったはず……

 

《黛クロナ》

取り出してみると、ところどころ傷だらけで血がついている。いったい何が起きたんだろうと悩んでいると、看護士さんがやって来てこういった。

「熊と戦ってよく生きてましたね」と。

 

《茜奏》

どうしてこんな所に制服が?

ぼやけた記憶が鮮明になってきた。俺は取引用の大金を紙袋に入れて運んでいたら、紙袋を持った原付の学生と衝突して……。そうか、あの時紙袋が入れ替わったんだ。

よりによって制服は女子用だったが、他に着るものもなく着用すると、病院を飛び出す。

こうして、彼がヤクザの世界に入ってかつてない戦いが幕を開けた。

 

《よう子》

目が覚めたら白い病室だった。体に異常はない。病室には人はいない。枕元には知らない紙袋がひとつ。中には高校時代の制服が入っていた。懐かしい……高校時代の赤いタイのセーラー服……つうっと、涙が流れた。ベッドに座り、紙袋からセーラー服を出したら、なぜか、自然と、静かに涙が流れた。

「なんで泣いてるんだろう……」

涙をぬぐう。

涙の意味はわからない。そして、私がここにいる理由もわからない。

 

《津蔵坂あけび》

何も思い出せない。

医師からは事故の内容と自分が半年ほど昏睡していたこと、そして異常記憶を失っているということを聞かされた。

何もぴんと来ない。

そして、最もぴんと来ないのは……病室になぜかセーラー服に身を包んだババアがいることだ。

ここまでくるとコスプレを通り越して、正真正銘の化け物である。

「その格好はいったいなんだ?」

「あらひどいわあ。お前さんの服も持って来たのに」

ババアがワケの分からんことを言った。

自分はこの通り、すっかり年を食ったジジイだぞ! 学ランなんぞ着れるか馬鹿者!

だいたい、お前はいったい誰なんだ!?

声を荒げると、ババアはニヤニヤとほくそ笑みながら「着替えたら教えてあげる」なんて抜かしやがった。

癪だが、着替えることにした。

学ランには、馴染みのない医者から聞かされただけの自分の名前がある。

駄目だ全く思い出せん。――待てよ。なんでこのババアはわしの学ランなんぞ持っているんだ?

疑問を浮かべつつも学ランに袖を通した。

その姿を見るなり、ババアは腹を抱えて笑いやがった。

「なんじゃ! タエちゃんこそ、化け物みたいな格好じゃろうが!」

思わず怒りに任せて声が出た。

すると、腹を抱えて笑っていたババアの声がぴたりと止まり、たらりと一滴の涙を流した。

「ああ、やっと。やっと呼んでくれた。もう何か月と待ったか。もう呼んでくれないかと思うたよ」

思い出した。わしは、このくそババアと五十年以上もずっと一緒にバカをやってきたんだった。

 

《御船侑広》

「なんで、こんなところに制服が?」

袋の中を覗き込むと、スカートとセーラー服、リボンが入っていた。明らかに女子用だ。

「こんなイタズラするの石井しかいないよなぁ?」

大声で叫ぶと、病室の扉が開く。本当に石毛がやってきた。

「チッ、バレたか」

「チッ、じゃねぇよ! チッ、じゃ! お前、妹に怒られるぞ!」

「お前、俺のじいちゃんのトラクターにひかれるって何があったんだよ! 見舞い品持ってきたから、これで心と体を癒せ!」

気迫のある表情で、僕を睨んでくる。目には涙が溜まっているが、全部演技である。

「それでどうしろって言うんだ!」

言い争っていると石井の後ろに石井の妹が笑みを浮かべて立っていた。ただし、目は笑っていない。

「石井! 石井ィ!」

「え?」と間が抜けた声を石井が出すと、石井妹は石井兄のスネを強く蹴った。

「痛ぃ!」

「和久兄ィ。アタシの制服を盗むなぁ!」

間髪入れずに石井妹は石井兄の背中にドロップキックを浴びせた。石井兄は顔面から壁に激突し、そのまま、冷たい床の上に倒れた。