クロナ先生の独断と偏見で行う小説講座 ~戦闘シーン編~
戦闘シーンにおいて大切なこと
戦闘シーンを書く上で大切なことは、臨場感。そしてテンポ。
何をどうしたか、誰が何をしたか、を書く必要は言うまでもありません。ですが、ただ動きを書いているだけだと、途中で詰まります。
三人称の場合 例文
《行動だけのパターン》
AはBに殴りかかる。勢いよく右手を振りかぶり、拳をBの顔にめり込ませる。Bは頬を押さえながら膝をついた。
《周りの様子や感覚も入ったパターン》
夕暮れの河原に佇む二人。AはBを睨み付け、固く握りしめた拳を振りかぶった。
怒りに身を任せるまま、Bを殴り付ける。
周囲に響く、鈍い音。
Bは顔をしかめながら、膝をついた。
三人称の場合は台詞に心理面を書くと良いと思います。
一人称の場合 例文
先ほどのものは三人称でしたが、一人称の場合は心理面を多くします。
例)
Bを睨む。あんなことをしておいて、許せるわけがない。少し冷えた風が吹き抜ける中、俺は固く握りしめた拳を振りかぶった。
空を切る、拳。
怒りを乗せて、叩きつけた。
少し、自分の拳が痛むのがわかる。殴るというのは、自分の感情を乗せて相手に伝えることだと思っている。
顔をしかめながら膝をつくB。
分かるだろう? 俺の痛みが。
行動よりも心理面を書くことで、主人公の思いを書きます。
Q&A
Q、現在書いているのが能力を使う系の戦闘なのですが、能力を使った時……例えば相手に刺さる時などの表現を知りたいです。
――例)
激しい剣劇の音が鳴り響く。互いに剣の腕は互角で、一進一退の攻防が続いている。
「この!」
少し焦りの色を見せ始めるA。彼には時間がなかった。そう、戦闘を長引かせれば魔法を使えない自分が劣性に陥ることが目に見えていたから。
だが、この一瞬の思考がAな判断を鈍らせた。
「そこ!」
「なっ!?」
鋭い一閃。
BはAの一瞬をつき、弾き飛ばす。そして――
「ホーリーランス!!」
詠唱ともに、光の槍をAに向けて放った。
不意を疲れ、すぐさま防御の体勢が取れないA。
どうにか体勢を戻すも、苦しい声が周囲にこだまする。
「ぐぅ……!」
脇腹を掠めたBの魔法。
鮮血が、ポタポタと地面に落ちた。
※動くところとかは、地の文を少くしてスピード感を出しても良いですね。